退職前にやることリスト|会社を辞める前の手続きと期限

Side-FIREプラン

この記事の結論:主な期限は、退職日の翌日から始まる。だから何を選ぶかは、在職中に決めておくのが吉。

はじめに

退職前にやることは、時期で分けると3つです。在職中にしかできないこと(クレジットカード、退職金・企業年金の確認、健康保険の比較)、退職直後の期限つきの手続き(年金は14日以内、任意継続は20日以内)、そして退職後から翌年にかけての支払いと精算(住民税・確定申告)。時期と期限の一覧は、第1章にまとめました。

この記事は、Side-FIREを目指す私が自身の退職に向けて整理したリストです。2026年6月に書いた時点で、運用資産は約3,900万円、目標まで残り約200万円でした。その後、2026年8月に目標の4,125万円に到達しています。私は2026年中にフルタイムの仕事を辞めるつもりでいます。

調べて分かったのは、辞めてからでは間に合わない、あるいは不利になる手続きが思ったより多いということでした。健康保険や住民税のように、退職後にまとまった請求が来て驚くものもあります。

制度の内容は2026年8月12日時点で、協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省・総務省の公開情報から確認したものです。金額や運用の細部は、勤務先の健康保険組合やお住まいの自治体で異なります。実際の手続きは必ず公式情報で確認してください。
なお「2026年中に退職する」というのは2026年8月時点の想定で、第6章の住民税の例はこれを前提に置いています。


1. 退職前にやることリスト:時期と期限の一覧

手続きは制度ごとに散らばっていますが、時期で並べると、やることはそれほど多くありません。

在職中(辞める前)にやること

  • 必要なクレジットカードを作る。ローンの検討も在職中に(第3章)
  • 会社の健康診断を受け、先送りにしていた通院を済ませる(第3章)
  • 退職金・企業型DCの移換先・持株会の精算方法を確認する(第3章)
  • 健康保険を任意継続・国保・家族の扶養のどれにするか、比べておく(第4章)

退職後の手続きと期限

時期手続き期限起算点・条件
退職直後国民年金への切替(第5章)14日以内退職日の翌日から
退職直後健康保険の任意継続(第4章)20日以内資格喪失日(退職日の翌日)から
退職後失業給付の給付制限(第7章)原則1ヶ月離職日が2025年4月1日以降の場合
退職後企業型DCの移換(第3章)6ヶ月以内加入者資格の喪失日から
翌年確定申告(第8章)翌年の申告期間年の途中で退職した場合

国民健康保険の届出期限は自治体ごとに案内が異なるため、この表には入れていません。辞める月が決まった時点で、自分の自治体のページを見に行くのが確実です。住民税は手続きではなく支払いですが、辞めたあとも現役時代の所得で請求が来ます(第6章)。


2. 退職前に押さえる「辞めると変わる4つのお金」

会社員をやめると、いままで会社がまとめて処理してくれていたものが、すべて自分の手元に降ってきます。特に重要なのが次の4つです。

項目在職中退職後
健康保険給与天引き(会社が半分負担)全額自己負担 or 任意継続 or 国保
年金給与天引き(厚生年金)自分で納付(国民年金)
住民税給与天引き前年所得に対し後から自治体から請求が来る
税金の精算年末調整(会社が実施)自分で確定申告

このうち住民税と健康保険は、退職後に「えっ、こんなに?」となりやすいところです。住民税は前年の所得に対してかかるため、収入がなくなった翌年でもしっかり請求が来ます。


3. 【在職中】辞める前にやること:クレジットカード・健康診断・退職金

辞めてしまうと「会社員」という信用や立場が使えなくなります。だから在職中に済ませるものから片付けます。

3-1. クレジットカード・ローン

  • 必要なクレジットカードは在職中に作る。無職になると審査が通りにくくなります
  • 住宅ローンの借り換えや各種ローンの検討も、在職中に

3-2. 健康診断・歯科治療

  • 会社の健康診断・人間ドックを受けておく。退職後は自費になりがちです
  • 歯の治療など、先送りにしていた通院を済ませる

3-3. 退職金・企業年金・持株会

  • 退職金の有無と金額、受け取り方法(一時金か年金か)を確認する
  • 企業型の確定拠出年金(DC)の移換先を決めておく
  • 持株会・財形貯蓄の精算方法を確認する

60歳未満の企業型DC加入者が資格を失ったあと、移換先として選べるのはiDeCoだけではなく、転職先の企業型DC・確定給付企業年金・通算企業年金もあります。退職後の自身の状況に応じて、適切な選択肢を選ぶ必要があります。私のようにSide-FIREして定年前にサラリーマンを辞める場合は、iDeCoで60歳まで運用するのが一般的です。定年の場合は様々な条件に応じて年金運用することも可能ですが、統計的には一時金として受け取る人が多いです(厚労省資料より)。

期限は、資格喪失から6ヶ月以内です。この間に移換または脱退一時金の手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会へ自動移換されます。自動移換されると運用されないまま手数料だけが引かれますが、それ以上に影響するのは、自動移換されていた期間が老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されないことです。受け取り始められる年齢そのものが後ろへずれます。

つまり在職中に決めておくのは「移換するかどうか」ではなく「どこへ移すか」のほうです。辞めてから6ヶ月を数えながら比較先を探すことになると、選択を誤る可能性があります。


4. 【退職直後】健康保険の手続きは3択。ただし「途中で乗り換える」も選べる

退職後の健康保険は、主に次の3つから選びます。

選択肢特徴期限
任意継続会社の健康保険を最長2年継続。保険料は全額自己負担資格喪失日から20日以内
国民健康保険自治体の保険。前年所得で保険料が決まる自治体の定める期日まで
家族の扶養に入る収入要件を満たせば保険料の負担なし都度確認

ここで、押さえておきたい条件が3つあります。

ひとつ目は、任意継続には入るための資格要件があること。退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あることが条件です。転職直後に辞める場合は、そもそも選べない可能性があります。

ふたつ目は、20日の起算日です。期限は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内。20日目が土日祝なら翌営業日まで。退職日なのか退職日の翌日からなのか正確に把握していないと、勘違いで選択肢を失う可能性があります。

三つ目が、保険料の上限です。任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に保険料率をかけて計算しますが、この標準報酬月額には天井があります。協会けんぽの場合、2026年度(令和8年度)の上限は32万円。退職時の標準報酬月額がこれを超えていても、32万円で計算されます。しかも任意継続の保険料は、原則として2年間変わりません。独自の健康保険組合の場合は、それぞれの組合で決まりがあるので詳細を問い合わせる必要があります。

私の場合は健康保険組合に問い合わせると任意継続のほうが安そうでした。国民健康保険の保険料は前年所得をもとに決まるので、退職直後の1年目は現役時代の所得で計算されます。一方の任意継続には天井がある。所得が高かった人ほど、1年目は任意継続が有利になりやすい構造なわけです。

「1年目は任意継続、2年目は国保」は、いつからできるようになったか

私が考えていたのは、退職後1年間は任意継続にして、2年目は国保に移るという乗り換えでした。2年目は前年の所得が下がっているので、国保のほうが安くなるからです。

この乗り換えができるようになったのは、そう古い話ではありません。

かつての任意継続は、いったん入ると原則2年間抜けられませんでした。保険料を滞納して強制的に資格を失うくらいしか、抜ける方法がなかったのです。それが2022年1月(令和4年1月)の健康保険法等の改正で、本人が申し出れば任意継続をやめられるようになりました。申出が受理された日の属する月の翌月1日が資格喪失日になります。


5. 【退職後14日以内】年金の切り替え:前年所得が高くても、免除の道はある

60歳未満でサラリーマンを辞め、配偶者の扶養に入らない場合は、厚生年金から国民年金への切替が必要です。この手続きは、退職日の翌日から14日以内。窓口は住所地の市区町村の国民年金担当か、年金事務所です。マイナンバーカードや年金手帳、そして会社からもらう厚生年金の資格喪失日を確認できる書類などが必要となってきます。

そして、収入が少ない場合の保険料の免除・納付猶予については退職者向けの特例があります。

通常の免除審査は前年所得で判定されるので、現役時代の所得が高いと通りません。ところが退職(失業)による特例免除では、退職した本人の前年所得を0として審査します。離職票など、退職の事実を確認できる書類が必要です。

ただし、審査の対象は本人だけではありません。世帯主や配偶者がいる場合は、その人の所得も審査対象に残ります。本人の所得を0扱いにしても、世帯側で所得要件を超えていれば通りません。

つまり道はあるが、世帯の状況で結論が変わる、というのが正確なところです。前年所得が高いというだけで諦める必要はない、けれど自分の世帯で通るかどうかは別に確かめる、という順番になります。

また、免除すると将来もらえる年金が少なくなります。それらも考慮の上で、申請するか検討する必要があります。


6. 【退職後〜翌年】住民税:辞めたあとに、現役時代の所得で1年5ヶ月分

退職後にいちばん重くのしかかるのが住民税だと思っています。前年の所得に対してかかるので、収入が止まったあとから請求が来るためです。

私は2026年中に辞めるつもりなので、2027年から考えてみます。

  • 2027年1月〜5月:2026年度分の残り。退職前と同じ水準の税額が残ります
  • 2027年6月〜2028年5月:2026年の所得に対する住民税

つまり収入が止まったあとに、現役時代の所得で計算された住民税を1年5ヶ月分払うことになります。ここは資産の増減とは無関係に出ていくお金なので、取り崩しの計画とは別に現金で確保しておく必要があります。

徴収の方法は退職時期で変わる。給与の支払日にも注意

在職中の住民税は、6月から翌年5月までの12回に分けて、毎月の給与から引かれています(特別徴収)。辞めると、まだ引かれていない残りをどう払うかが変わります。このルールは地方税法第321条の5第2項で決まっていて、分かれ目は辞める時期です。

  • 6月〜12月に辞めた場合: 原則として、残りは自分で納める普通徴収に切り替わります。本人が申し出れば、最後の給与や退職金からまとめて引いてもらう一括徴収も選べます
  • 1月〜4月に辞めた場合: 申し出がなくても、最後の給与や退職金から一括徴収されます
  • 5月に辞めた場合: 5月分は年度の最終回なので、いつもどおり給与から引かれて終わります

ただし、一括徴収には条件があります。5月31日までに支払われる給与か退職金のなかに、残りの税額を上回るものがあるときに限られます。上回るものがなければ一括徴収はされず、残りは普通徴収で自分で納めることになります。

また、時期の区切りは、勤め先の給与の支払方法によって変わる可能性があります。条文が区切りにしているのは、退職した日ではなく『給与の支払を受けないこととなった』ことだからです。会社によって15日締め・当月払いだったり月末締め・翌月払いだったり、月末締め・翌々月払いというのもあったりします。自治体の案内や給与計算の解説は退職日で区分しているものがほとんどですが、最後の給与が翌月以降にずれる場合に一括徴収・普通徴収どちらで扱うかまで明示した公式の説明は見つけられませんでした(AI調べ)。なので、詳しい流れは勤め先の人事に確認するのがベストです。

ただ、どちらになっても、払う総額は変わりません。変わるのは、まとめて引かれるか、分けて払うかだけです。だからこの章の結論——1年5ヶ月分を取り崩しとは別に現金で用意しておく——は変わりません。


7. 【退職後】失業保険(失業給付)はもらえるか:待つ期間は1ヶ月に。ただし事業を始める人は対象外

雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険・失業給付)は、自己都合で辞めた場合でも受け取れる可能性があります。ただし、受け取るには次の2つを満たす必要があります。

  • 失業の状態にあること: ハローワークで求職の申込みをし、就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があるのに、仕事に就けていない状態です。病気ですぐには働けない人や、しばらく休養するつもりの人は当てはまりません
  • 雇用保険に一定期間入っていたこと: 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが条件です。倒産・解雇などで辞めた人は、離職の日以前1年間に6ヶ月以上でも認められます

手続きは、会社から受け取った離職票を持って、ハローワークで行います。

自己都合で辞めた場合は、手続きをしてもすぐには支給が始まりません。7日間の待期のあとに、給付制限の期間がかかります。

この給付制限が、2025年4月から1ヶ月短くなっています。

  • 退職日が2025年(令和7年)4月1日以降なら、給付制限は原則1ヶ月(それ以前は原則2ヶ月)
  • 過去5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合は3ヶ月
  • 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)の場合も3ヶ月
  • 2025年4月以降に、リ・スキリングのための教育訓練等を自ら受け始めた場合は、給付制限が解除されます

給付を受けるつもりで退職後の生活費を組んでいるなら、収入が途切れる期間の見積もりが1ヶ月分短くなります。

ただし、私はこの給付を受けられません。私が目指しているのは事業所得を続ける前提のSide-FIREで、辞めたあとは就職先を探すのではなく、事業を本格的に始めるつもりだからです。ハローワークの案内では、自営に専念する場合は開業までの準備期間も含めて申告が必要で、基本手当が支給されるのは「自営に専念する日の前日まで」とされています。就職しようとする意思が前提の給付なので、事業に専念する人は対象から外れます。

辞めたあとに事業を始めるつもりなら、失業給付は退職後の収入に数えないほうが安全です。


8. 【退職後〜翌年】確定申告と、取り崩しの始動

8-1. 確定申告

年の途中で退職すると年末調整がされないため、翌年に自分で確定申告して払いすぎた税金を精算します。国民年金保険料・健康保険料・iDeCoの掛金は、いずれも控除の対象です。

8-2. 取り崩しルールの始動

ここから先は、増やす側ではなく減らす側の話になります。私は取り崩しの手順を先に決めてあるので、退職したらそれに沿って回すだけです。

辞める手続きは、この2つの記事のあいだにある工程です。いくら貯まったら辞めるかを決め、辞めるための手続きを済ませ、そこから取り崩しを始める、という順番です。


9. まとめ:退職前にやること

  1. 辞めると健康保険・年金・住民税・確定申告が、すべて自分ごとになる
  2. クレジットカード・健康診断・企業型DCの確認は、在職中に済ませる
  3. 健康保険は3択を比較する。任意継続には資格要件と保険料の上限があり、途中でやめることもできる
  4. 年金は14日以内。退職者向けの特例免除は、本人の前年所得を0として審査する
  5. 住民税は辞めたあとも現役並みの支払いが発生。取り崩しとは別に現金で用意する
  6. 失業給付の給付制限は、2025年4月以降の離職なら原則1ヶ月

辞めてから慌てないために、このリストを順に潰していきます。


数字の出どころ

この記事の制度の内容は、2026年8月12日時点で次の公式情報から確認しました(地方税法・東京都の手引き・ハローワークの案内は2026年10月3日に確認)。


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■注意

本記事は制度の一般的な解説であり、税務・社会保険の正確性を保証するものではありません。

制度は改正されます。記載は2026年8月12日時点で確認した内容です。

手続きは必ず公式情報・自治体・勤務先でご確認ください。

最終判断は自己責任で!!

ではまた!!

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