FIREの取り崩し方と税金の計算|資産3,900万円で月12万円

Side-FIREプラン

FIREの取り崩し額は、「残高×4%」だけでは決まりません。特定口座を売ると含み益に税金がかかり、取り崩しを続けると金融資産と現金の比率もずれていくからです。

私は年に1回、次の2ステップで翌年の取り崩し額を決めています。

  • ステップ1:特定口座を売って、金融資産と現金を8:2に戻す(売る額は式を1回解けば出ます)
  • ステップ2:戻した後の残高に4%を掛け、税金を引いて12で割り月の取崩額を算出する

2026年5月末の私の口座(金融資産と現金の合計でおよそ3,900万円)で計算すると、月の手取りは約12万円でした。税金は、リバランスで投資信託を現金化するときに約22万円、翌年の取り崩しで月に約0.9万円かかります。

この記事では、この2ステップの計算と税金を、私の口座の実額で順に説明します。4%ルールの根拠や「何年もつか」のシミュレーションは、目標額の記事で扱っています。
-> サイドFIREにいくら必要か|生活費から逆算した私の4,125万円

なぜ「残高×4%」だけでは取り崩し額が決まらないのか?

「4%ルールで取り崩す」と一言で言えば簡単そうに聞こえます。4,000万円の4%なら年160万円、月に13万円ちょっと。電卓1回で終わる話に見えます。

実際に計算してみると、そうはいきません。理由は2つあります。

ひとつは税金です。私の金融資産はNISA口座と特定口座に分かれていて、特定口座を売れば含み益に20.315%かかります。同じ100万円を売っても、手元に残るのは100万円ではありません。「いくら売るか」と「いくら使えるか」が一致しないのです。

もうひとつは比率の維持です。私は金融資産と現金を8:2で持つと決めています。取り崩しを続ければこの比率は毎年ずれていくので、年に1回は戻す必要があります。そしてこの「戻す」作業自体が、特定口座を売る=税金がかかる行為になります。

税金・リバランス・取り崩し額の3つが互いに絡み合っているので、手順を決めておかないと、毎年その場で悩むことになります。

取り崩しの前に、決めておくルールは何か?

私が決めているルールは4つです。

  • 金融資産(NISA口座+特定口座)と運用現金の保有比率を決める(私の場合は 8:2 )
  • 取崩率は 4%ルール を基準にする
  • 取り崩しは 特定口座を優先 する(金融資産課税の改悪リスクを踏まえて)
  • リバランスは 年1回だけ。相場を見て動かさない

3つ目について補足します。NISA口座は非課税なので、目先の手取りだけを考えれば先に売ったほうが得です。それでも特定口座を先に減らすのは、非課税枠という制度上の資産を最後まで残しておきたいからです。制度は将来変わりうる、という前提で順番を決めています。

ルールの全体像はプロフィールにまとめています。
-> プロフィール

1つ目の8:2と2つ目の4%ルールは、目標額4,125万円を決めるときに同時に決まったものです。どう導いたかは別記事に書いています。
-> サイドFIREにいくら必要か|生活費から逆算した私の4,125万円

この4つを前提にすると、毎年やることは冒頭の2ステップに整理できます。

ステップ1:8:2に戻すには、特定口座をいくら売ればいいか?

求めるのは「特定口座をいくら売れば、現金比率がちょうど20%になるか」です。

ここで効いてくるのが税金です。300万円売っても、含み益に課税されて手元に入るのは300万円ではありません。「現金を◯円増やしたい」から逆算しようとすると、税額が決まらないと売却額が決まらず、売却額が決まらないと税額が決まらない、という堂々巡りになります。

この堂々巡りは、式を売却額について解けば1回で片づきます。コツは、売却1円あたりの手取りを先に出しておくことです。特定口座の含み益の割合に税率を掛けて1から引くだけです。2026年5月末の私の口座では約0.92円でした。これが分かれば、現金比率が20%になる売却額は1本の式で出ます(式は付録Aに置きました)。

2026年5月末の実額で計算したのが下の表です。

項目金額
NISA口座1,362万円
特定口座2,021万円(うち元本1,200万円)
運用現金529万円(現金比率13.5%)
売却額(式で求めた値)約271万円
引かれる税金約22万円
手取り約249万円
リバランス後の現金比率20%

約271万円を売って、税引き後の約249万円が現金に移る。これで金融資産と現金がちょうど8:2に戻ります。

なお、暴落して金融資産が減っている年は、この売却額がマイナスになります。その場合はリバランスしないと決めてあります。株・投信が不調なときは、現金からの取崩を優先するためです。

-> 売却額を求める式は 付録A:ステップ1の計算式 に置いてあります

ステップ2:翌年は、毎月いくら取り崩せるか?

リバランス後の残高が決まれば、あとは機械的です。金融資産と運用現金それぞれに4%を掛けて年間の取崩額を出し、金融資産のほうからは税金を引き、12で割ります。

同じく2026年5月末の数字で出した結論がこちらです。

項目月額
金融資産からの取崩約10.4万円
運用現金からの取崩約2.6万円
(うち金融資産の税金)約0.9万円
手取り見込み約12.1万円

月12万円。これが、いまの資産規模で私が使えるお金です。

正直に言うと、思っていたより少ないというのが第一印象でした。家賃を払って生活費を賄うには足りません。だからこそ「Side-FIRE」であって、完全リタイアではないわけです。

私は今年で会社員を辞めて、サイドFIREに移ります。この12万円に、週に何日か働く分の収入を足して暮らす。その設計が数字として見えたのは収穫でした。

学生時代の貧乏暮らしぶりなら、これだけでも成立しそうではありますが😂

取り崩しの計算より先に期限が来るのは、会社を辞める手続きです。退職前後で何をどうするかは既に決めてあります。
-> 退職前にやることリスト|会社を辞める前の手続きと期限

-> こちらは計算項目が12個あります。全部の式は 付録B:ステップ2の計算式 に置いてあります

取り崩すと、税金はいくらかかるか?

かかるのは、特定口座の売却額のうち含み益にあたる部分への20.315%です。NISA口座は非課税なので、売っても税金はかかりません。

2026年5月末の特定口座はS&P500連動投信1銘柄のみで、残高2,021万円のうち元本が1,200万円で、含み益の割合はおよそ4割。売却100万円あたり約8万円が税金になります。

ステップ1・2の手順で計算すると、税金は2か所で出てきます。

  • ステップ1(リバランスで約271万円を売る):約22万円
  • ステップ2(翌年の取り崩し):年に約10万円、月に約0.9万円

税金の大きさを決めるのは、含み益の割合です。含み益の割合が高いほど、同じ額を売っても手元に残る額は減ります。

ルールの章で書いたとおり、税金だけを見ればNISA口座から売るほうが手取りは多くなります。それでも私は特定口座から取り崩します。特定口座を取り崩し終えれば、税金の項はまるごと消えます。

まとめ:年に1回、この順で回す

  • 12月末など時期を決めて、ステップ1・ステップ2を計算する
  • ステップ1の結果に従ってリバランスを実行する
  • 翌1年間は、ステップ2で出した月額を淡々と取り崩す
  • 1年後、また同じことをする

途中で相場がどう動いても、この順番は変えません。増やす側も減らす側もルール通り淡々と実行していきます。

-> 新NISAの運用ルール|毎月30万円の積立と、成長投資枠を一括で使うタイミング

特定口座を取り崩し終えたあとは、非課税のNISA口座だけになるので、この計算はもっと簡単になります。税金の項がまるごと消えるからです。そこまで行ければ、電卓1回で終わる話に戻ります。


付録:計算式

ここから先は、自分で同じ計算をしてみたい方向けの資料です。読み物としては前の章までで完結しているので、必要な方だけどうぞ。

付録A. ステップ1の計算式

必要な入力は、NISA口座・特定口座・特定口座元本・運用現金・源泉分離課税(2026年6月1日現在 20.315%)の5つです。求める値は「リバランスによる金融資産取崩額」で、目標とする現金割合を r(私のルールでは20%なので0.20)とします。

売却1円あたりの手取

1 − (特定口座 − 特定口座元本) ÷ 特定口座 × 源泉分離課税

リバランスによる金融資産取崩額

( r × (NISA口座 + 特定口座 + 運用現金) − 運用現金 ) ÷ ( (1 − r) × 売却1円あたりの手取 + r )

計算結果がマイナスになる場合は、リバランスしません。

引かれる税金

(特定口座 − 特定口座元本) × 源泉分離課税 × リバランスによる金融資産取崩額 ÷ 特定口座

リバランス時の手取

リバランスによる金融資産取崩額 − 引かれる税金

リバランス後の現金割合(検算用)

(運用現金 + リバランス時の手取) ÷ ( NISA口座 + (特定口座 − リバランスによる金融資産取崩額) + (運用現金 + リバランス時の手取) )

取崩額の式は、この「リバランス後の現金割合」が r になるように、取崩額について解いたものです。

2026年5月末の数字(NISA口座13,628,533円・特定口座20,217,855円・特定口座元本12,000,000円・運用現金5,292,547円)を入れると、こうなります。

売却1円あたりの手取 = 1 − (20,217,855 − 12,000,000) ÷ 20,217,855 × 0.20315 ≒ 0.917427

リバランスによる金融資産取崩額 = ( 0.20 × 39,138,935 − 5,292,547 ) ÷ ( 0.80 × 0.917427 + 0.20 ) ≒ 2,714,560円

引かれる税金 ≒ 224,150円、リバランス時の手取 ≒ 2,490,410円、リバランス後の現金割合 = 0.20

なお、売却額をこの値からずらしても、付録Bで求める月の手取見込みは変わりません。売却額を変えると、リバランス時の税金と、翌年の取崩にかかる税金が打ち消し合うためです。変わるのは、金融資産と運用現金の内訳だけです。

付録B. ステップ2の計算式

ステップ1で求めた取崩額を使って、リバランス後の残高を出してから4%を掛けます。取崩率は0.04です。

リバランス後の残高

[後]NISA口座 = NISA口座(特定口座から取り崩すため変わらない)
[後]特定口座 = 特定口座 − 取崩額
[後]特定口座元本 = 特定口座元本 − 取崩額 × 特定口座元本 ÷ 特定口座
[後]運用現金 = 運用現金 + リバランス時の手取

年間の取崩額

[年]金融資産取崩 = ([後]NISA口座 + [後]特定口座) × 取崩率
[年]運用現金取崩 = [後]運用現金 × 取崩率
[年]金融資産税金 = ([後]特定口座 − [後]特定口座元本) × 源泉分離課税 × [年]金融資産取崩 ÷ [後]特定口座
[年]金融資産手取見込 = [年]金融資産取崩 − [年]金融資産税金

月額(最終的に知りたい値)

[月]金融資産取崩 = [年]金融資産取崩 ÷ 12
[月]運用現金取崩 = [年]運用現金取崩 ÷ 12
[月]金融資産手取見込 = [年]金融資産手取見込 ÷ 12
[月]手取見込 = [月]運用現金取崩 + [月]金融資産手取見込

2026年5月末の数字で、付録Aの取崩額(2,714,560円)を使って計算した結果です。

[後]特定口座 ≒ 17,503,295円、[後]特定口座元本 ≒ 10,388,814円、[後]運用現金 ≒ 7,782,957円

[年]金融資産取崩 ≒ 1,245,273円、[年]運用現金取崩 ≒ 311,318円、[年]金融資産税金 ≒ 102,826円

[月]金融資産手取見込 ≒ 95,204円、[月]運用現金取崩 ≒ 25,943円、[月]手取見込 ≒ 121,147円

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