この記事の結論:レバレッジ取引には絶対に関わらない。資産1,000万円への一番の近道は、運用リターンではなく入金力。
- はじめに——「押し目だ、今こそレバレッジで」と思ったときの話
- 1. 結論
- 2. 大負けの前——損切りだけが積み上がる「ガチャガチャトレード」の日々
- 3. 運用資産の全額をCFDへ——実際に建てていたポジションの中身
- 4. 2020年2月25日——22枚すべてが強制決済されるまで
- 5. 下落のベロシティ——「押し目買い」が成立しない速度だった
- 6. 本当の地獄はロスカットの後だった——チルト状態
- 7. 2020年の年間成績:-3,934,827円
- 8. 大負けしてからやったこと——入金力への全面切り替え
- 9. 教訓1:レバレッジをかけたトレードは、絶対にやらない・関わらない
- 10. 教訓2:資産1,000万円までは、リターンより入金力がすべて
- 11. いま下落局面にいる人へ
- 12. まとめ
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はじめに——「押し目だ、今こそレバレッジで」と思ったときの話
相場が大きく下げたとき、投資家の頭には必ず2種類の考えが浮かびます。
ひとつは「怖い、逃げたい」。もうひとつは「安く買えるチャンスだ、ここでレバレッジをかければ一気に取り返せる」。
後者が、私を退場寸前まで追い込みました。
2020年のコロナショックで、私は運用資産を半分以下にしました。
原因は暴落そのものではありません。CFDでレバレッジをかけて一発逆転を狙った、私自身の判断です。当時の私も「高値圏からの下げは押し目」と信じて枚数を積み、暴落局面で人間がやってしまう典型的な失敗を重ねて、わずか数日で400万円以上を失いました。
この記事では、当時の約定履歴をそのまま公開します。何枚のポジションを、いくらで建て、いくらで刈られたのか。想定元本はいくらで、それを当時の私がどう見誤っていたのか。そして、そこからどうやって資産1,000万円まで戻したのか。
精神論ではなく、残っている数字だけで書きます。いまの下落局面で同じ轍を踏む人が一人でも減れば、と思って公開する失敗談です。
1. 結論
- 2020年のCFD年間実績は -393万円。ロスカットにより運用資産は半分以下に
- 建てていたのは NYダウCFD 22枚・建値ベースの想定元本およそ6,600万円。数日でその全ポジションが強制決済された
- 立ち直りの手段はトレードの改善ではなく入金力の強化。2021年末に資産1,000万円へ到達し、その延長線上に現在の4,000万円超がある
2. 大負けの前——損切りだけが積み上がる「ガチャガチャトレード」の日々
コロナショック以前の私は、不当に利回りの高い高配当個別株を掴んで損をしたり、SPXL/SPXS(S&P500の3倍レバレッジETF)を短期で売買したりしていました。いわゆる「ガチャガチャトレード」です。
上がりそうだと思えば買い、下がれば怖くなって損切り。またエントリーしては損切り。
気づけば損切りの回数ばかりが積み上がり、資産は一向に増えませんでした。
いま振り返れば当然です。明確なルールも優位性もなく、感情でエントリーと決済を繰り返していただけなのですから。
問題はここからです。私はこの結果を「手法が悪い/資金が足りない」と解釈しました。
本当の問題は「ルールがないこと」だったのに、「効率が悪いこと」だと読み違えた。この誤診が、レバレッジという処方箋を選ばせます。 大負けの原因は、暴落の当日ではなく、この時点ですでに確定していました。
3. 運用資産の全額をCFDへ——実際に建てていたポジションの中身
「現物で少額を回しても増えない。ならばレバレッジをかければいい」
そう考えた私は、運用資産のほぼ全額をCFD口座に移し、NYダウのCFDでレバレッジをかけたトレードを始めました。狙いは一発逆転。少ない値幅でも枚数を積めば大きく取れる——うまくいけば、の話です。
2020年2月中旬、NYダウは29,000ドル台の史上最高値圏。私は「まだ上がる」と考え、高値圏で次々に買い枚数を積み増していきました。
当時の約定履歴に残っている建玉が、これです。
| 約定日 | 売買 | 枚数 | 約定価格(ドル) |
|---|---|---|---|
| 2020/02/13 | 買 | 10 | 29,450 |
| 2020/02/13 | 買 | 2 | 29,275 |
| 2020/02/19 | 買 | 4 | 29,271 |
| 2020/02/20 | 買 | 2 | 29,130 |
| 2020/02/24 | 買 | 2 | 28,480 |
| 2020/02/24 | 買 | 2 | 28,100 |
| 合計 | 22枚 |
注目してほしいのは下2行です。2月20日、24日——すでに価格が下がり始めてから、私は買い増しています。「押し目だ」と思っていたわけです。
想定元本を計算してみる
この22枚が、実際にどれだけの金額を動かしていたのか。決済履歴から逆算すると、このCFDは1枚あたり1ポイント=100円でした(後述の決済で、値幅1,848ポイント×10枚が-1,848,000円になっていることから確認できます)。
建値ベースの想定元本を計算すると:
- 10枚 × 29,450 + 2枚 × 29,275 + 4枚 × 29,271 + 2枚 × 29,130 + 2枚 × 28,480 + 2枚 × 28,100
- = 661,554ポイント × 100円 = 約6,616万円
当時の私は、この6,616万円という数字を一度も計算していませんでした。 見ていたのは口座画面の「証拠金維持率」というパーセンテージだけです。
ここは正直に書いておきます。当時いくらをCFD口座に入れていたのか、手元に記録が残っていません。 記憶では600万円台だったと思うのですが、記憶は記憶です。裏を取れない以上、「レバレッジ何倍だったか」は今となっては分かりません。
確実に言えるのは、株価指数CFDの証拠金率が一般に10%であることから、6,616万円のポジションは660万円程度の証拠金で持ててしまう、という仕組みの話だけです。
そして、それこそがレバレッジの本質だと思っています。手元の資金の何倍かを意識しなくても、ポジションは建ってしまう。 画面に表示されるのは維持率(%)であって、自分がいま何千万円を動かしているのかは、どこにも出てきません。
自分がいくら動かしているのかを把握しないままポジションを持つ——これが1つ目の致命傷でした。
💡 補足:CFD(差金決済取引)は、証拠金にレバレッジをかけて取引する商品です。証拠金維持率が一定を下回ると、自分の意思とは関係なくポジションが強制決済される「ロスカット」が発生します。現物株や投資信託と決定的に違うのは、「待つ」という選択肢が奪われる点です。
4. 2020年2月25日——22枚すべてが強制決済されるまで
ある程度枚数を入れきったタイミングで、コロナショックの初動が始まりました。
当時、コロナのニュース報道は出ていましたが、そこまで大騒ぎする雰囲気はなく、相場の動きも小さなものでした。「いつもの調整だろう」という空気です。
そこから数日で、相場は一変します。

2020年2月24日の週から、ダウもS&P500もNASDAQ100も軒並み大波乱。NYダウは連日1,000ドル超の下げを繰り返しました。
高値圏で積み上げた買いポジションは一瞬で含み損に転落し、証拠金維持率が急低下。2020年2月25日、私のポジションは次々にロスカットされました。
当時の実際の約定履歴がこちらです。

| 決済日 | 枚数 | 建値 | 決済価格 | 決済損益 |
|---|---|---|---|---|
| 2020/02/25 | 10 | 29,450 | 27,602 | -1,848,000円 |
| 2020/02/25 | 6 | 29,275/29,271 | 27,043 | -1,337,600円 |
| 2020/02/25 | 6 | 29,130/28,480/28,100 | 27,200 | -822,000円 |
| 合計 | 22 | -4,007,600円 |
この日だけで400万円以上が消えました。およそ600万円あった運用資産は、一瞬で半分以下になりました。
「少し下げたら買い増せばいい」という読みが、なぜ通用しなかったのか。次章の数字を見ると、はっきりします。
5. 下落のベロシティ——「押し目買い」が成立しない速度だった
暴落を語るとき、多くの人は下落率を見ます。しかしレバレッジ取引で人を殺すのは、下落率ではなく下落率÷時間、つまり速度(ベロシティ)です。
コロナショックの記録は、こうなっています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| S&P500の高値 | 2020年2月19日 |
| S&P500の安値 | 2020年3月23日 |
| 下落率 | 約 -34% |
| 要した営業日 | わずか 23営業日 |
| 高値から-20%(弱気相場入り)まで | 16営業日(当時、史上最速) |
| 米国市場のサーキットブレーカー | 2020年3月だけで 4回発動 |
1か月で3分の1が消えるという速度です。
現物のインデックス投資なら、この期間は「何もしない」で通過できます。実際、S&P500は2020年8月には最高値を更新しました。待てる人にとって、コロナショックは半年の出来事でした。
しかしレバレッジをかけていると、話がまったく違います。
- 押し目買いの資金を用意する時間がない(数日で終わる)
- 買い増した瞬間にさらに下げる(私の2/20・2/24の建玉がまさにこれ)
- 証拠金維持率が先に底を割るので、「戻り」を待つ権利そのものを失う
私が失ったのは400万円だけではありません。「保有し続ける」という長期投資の最大の武器を、自分で放棄していたのです。
6. 本当の地獄はロスカットの後だった——チルト状態
恐ろしいのはここからでした。
400万円を失った私は、完全にチルト状態(冷静さを失い、正常な判断ができなくなる状態)に陥りました。
- 「取り返さなければ」という焦りだけでエントリー
- 根拠のない逆張り、値ごろ感だけのナンピン
- 勝てば「次はもっと枚数を」、負ければ「次で取り返す」
- ついには生活防衛資金にまで手を付けてトレード資金に投入
勝ったり負けたりを繰り返す粗雑なトレードの日々。冷静に考えれば異常だとわかるのに、当時は「ここでやめたら負けが確定する」としか考えられませんでした。
損失を取り返そうとする行動が、さらに損失を膨らませる——絵に描いたような転落パターンです。
ここが、失敗談として一番伝えたい部分です。大負けの本当のコストは、失った金額ではなく、その後の判断力が壊れること。2月25日の-400万円だけなら、まだ「高い授業料」で済みました。実際にはそこから10か月かけて、傷を自分で広げています。それが次の数字です。
7. 2020年の年間成績:-3,934,827円
2020年のCFD年間実績がこちらです。

| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 決済損益 | -3,877,200円 |
| 手数料 | -93,413円 |
| 消費税 | -9,235円 |
| 金利・配当相当額 | +45,021円 |
| 受払金額 合計 | -3,934,827円 |
マイナス393万円。 会社員の手取り年収に匹敵する金額を、1年で市場に差し出した計算です。
そして注目してほしいのは、2月25日の-400万円と、年間の-393万円がほぼ同じだという点。つまり3月以降の10か月間、あれだけ取引を繰り返して、収支はほぼゼロだったということです。
チルト状態でのトレードは、損を取り返しもしなければ、時間だけを溶かす。数年かけてコツコツ貯めた資産と、1年ぶんの余暇が、判断ミスの連鎖で消えました。
8. 大負けしてからやったこと——入金力への全面切り替え
どん底まで落ちて、ようやく目が覚めました。CFD口座から出金し、レバレッジ取引から完全に足を洗いました。
そこから私がやったことは、トレードの研究ではありません。家計の見直しと節約による入金力の強化です。
- 固定費の削減:通信費・保険・サブスクを徹底的に見直し月1万円以上の固定費削減。
- 生活防衛資金の再構築:まず生活費1~2年分を確保し、この口座には二度と手を付けないと決める。
- 残りは現物のインデックス投資に淡々と入金:毎月10~20万円
派手さは一切ありません。相場も読みません。ただ、稼いだお金の行き先を変えただけです。
ですが2021年末、資産は1,000万円に到達しました。大負けから約2年。取り返したのはトレードの腕ではなく、入金力でした。
その後もこの方針を続けた結果が、現在の運用資産4,000万円超です。
9. 教訓1:レバレッジをかけたトレードは、絶対にやらない・関わらない
1つ目の教訓はシンプルです。レバレッジ取引には二度と関わらない。
理由を3つに整理します。
(1) 一度の暴落で退場させられる
ロスカットのある取引では「長期で持てば戻る」が通用しません。コロナショックのS&P500は5か月で最高値を更新しましたが、私はその5か月を待てませんでした。正しい方向に賭けていても、時間が持たなければ負けるのがレバレッジです。
(2) 想定を超える速度と深さで下げる
インデックス投資でも1〜2年ぶんの上昇が巻き戻ることはあります。しかしコロナショック級では、それが23営業日で起きます。自分が想定した最悪シナリオは、たいてい本当の最悪より甘い。
(3) 失うのはお金だけではない
大負けはチルト状態を引き起こし、その後の判断まで狂わせます。 私の場合、それが10か月続きました。金額よりこちらのほうが高くつきます。
現物のインデックス投資なら、暴落しても保有し続けられます。「退場しないこと」こそ長期投資の必須条件であり、レバレッジはその条件を根本から破壊します。
10. 教訓2:資産1,000万円までは、リターンより入金力がすべて
2つ目の教訓。資産1,000万円までの主役は、運用リターンではなく入金額です。
考えてみてください。資産300万円に年利5%がついても、増えるのは年15万円。ですが家計を見直して月5万円入金すれば、それだけで年60万円です。運用の4倍。
資産300万円から1,000万円に到達するまでの年数を、年利5%で試算するとこうなります。
| 毎月の入金額 | 1,000万円到達までの年数 |
|---|---|
| 0円(運用だけ) | 約24.7年 |
| 3万円 | 約10.7年 |
| 5万円 | 約7.9年 |
| 10万円 | 約4.7年 |
※年利5%・年1回複利の簡易計算(税・手数料は考慮せず)。概算です。
運用だけなら25年かかる道のりが、月5万円の入金で8年、月10万円なら5年を切ります。資産が小さいうちは、リターンを追うより入金を増やすほうが圧倒的に速い。
そして重要なのは、入金力にはロスカットがないことです。相場が下がろうが上がろうが、削った固定費は確実に積み上がります。
私がレバレッジに手を出したのは「現物では増えるのが遅い」と焦ったからでした。ですが実際に資産1,000万円へ最短で連れて行ってくれたのは、一発逆転のトレードではなく、地味な節約と毎月の入金でした。
- ❌ 資産が少ないからと、レバレッジで増やそうとする
- ✅ 資産が少ないうちこそ、家計を見直して入金力を上げる
11. いま下落局面にいる人へ
この記事を書いている2026年も、AI・半導体関連を中心にボラティリティの激しい相場が続いています。SNSを開けば「バブル崩壊か」という声と、「今こそレバレッジで勝負だ」という声が同時に流れてきます。
2020年2月の私と、同じ景色です。
もし後者の考えが頭をよぎっているなら、この記事の第3章と第5章の数字だけでも見返してください。
- 自分がいまいくらの想定元本を動かそうとしているのか(証拠金維持率ではなく、金額で)
- その建玉は、23営業日で-34%が来ても生き残れるのか
この2つに数字で答えられないなら、答えは出ています。
12. まとめ
- コロナショックの初動で、NYダウCFD 22枚(想定元本 約6,600万円)が2020年2月25日に全ロスカット。この日だけで400万円以上を失い、運用資産は半分以下になった
- 年間実績は -393万円。うち大半は2月25日の一日で、残り10か月は「取り返そうとして時間を溶かした」期間だった
- 教訓1:レバレッジ取引には関わらない。 退場しないことが長期投資の必須条件で、レバレッジはその条件を壊す
- 教訓2:資産1,000万円までは入金力がすべて。 月5万円の入金は、300万円の運用リターンの4倍の速さで効く
この失敗があったからこそ、いまの「ルールに従って淡々と積み立てる」スタイルがあります。
393万円の授業料を、資産規模が小さいうちに払えたこと。 それが唯一の救いです。
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■注意
当ブログは資産運用を推奨する目的は一切ございません。
投資は自己責任で!!
ではまた!!
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