この記事の結論
- 信託報酬はSBI NASDAQ100が最安(0.1958%)。実質コストは初回決算(2027年5月)まで分からない
- ニッセイNASDAQ100の実質コストは、公表0.2035%に対して0.210%
- 私は2026年7月に買付け先をニッセイからSBIに切り替え、2026年10月現在も運用を継続している
この記事では、NASDAQ100に連動する投資信託3本(SBI・ニッセイ・楽天)を、公表されている信託報酬と、運用報告書から分かる実質コストで比べます。私はニッセイからSBIへ積立を移した当事者なので、その判断と現在までの運用実績も載せています。
1. SBI NASDAQ100とニッセイ・楽天の違いは、コストだけ
2026年10月26日に、運用会社と販売会社の資料で確認した内容です。
| ファンド | 公表の信託報酬 | 実質コスト(直近の運用報告書) | 設定日 | 買える証券会社 |
|---|---|---|---|---|
| SBI NASDAQ100インデックス・ファンド | 0.1958% | まだ存在しない | 2026年5月 | SBI証券のみ |
| ニッセイNASDAQ100インデックスファンド | 0.2035% | 0.210% | 2023年3月 | SBI証券・楽天証券・マネックス証券など(販売会社13件) |
| 楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド | 0.198% | 0.211% | 2024年1月 | 楽天証券のみ |
実質コストは、ニッセイが第3期(2024年9月〜2025年9月)、楽天が第2期(2024年10月〜2025年10月)の交付運用報告書の数字です。ニッセイは2026年9月、楽天は2026年10月に次の決算期末を迎えたので、次の運用報告書が出るとこの欄は変わります。
いずれも連動先は同じNASDAQ100で、為替ヘッジもありません。実質コストの出し方と、SBIの欄が空いている理由は第2章で書きます。
新NISAでは、3本とも成長投資枠で買えます(2026年10月26日時点)。なお、NASDAQ100に連動する投資信託がすべてつみたて投資枠の対象外というわけではありません。大和アセットマネジメントは、iFreeNEXT NASDAQ100インデックスをつみたて投資枠でも買えるファンドとして案内しています(同社調べ・2024年8月末時点)。
SBIには、名前のよく似たファンドがもう1本あります。「SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド」(愛称:雪だるま(QQQ・NASDAQ100)、2023年8月設定)です。こちらは米国のETF(QQQとQQQM)を通じて投資する仕組みで、設定時(2023年8月)の目論見書はETFの費用を含めた実質的な負担を「年0.2388%(税込)以下」としています。この記事で扱うSBI NASDAQ100(2026年5月設定)とは別のファンドです。数字の物差しも違うので、上の表には入れていません。
もうひとつ、長期で積み立てるなら繰上償還も気になるところですが、これは目論見書に金額で条件が書いてあります。SBIは「純資産総額が10億円を下回ることとなった場合等」、ニッセイは「受益権30億口または純資産30億円を下回っている場合等」。実際の純資産はSBIが1,118億円(2026年9月30日時点)、ニッセイが6,045億円(2026年6月末時点)で、どちらも足切りの100倍を超えています。この論点は両者とも問題なし、で終わりです。
だから比べる先はコストだけになります。
2. SBI NASDAQ100の実質コストは、まだ分からない
投資信託の費用は信託報酬だけではありません。売買委託手数料、有価証券取引税、保管費用、監査費用などが別にかかり、これらを合わせたものが実質コストです。実質コストは決算のあとに出る運用報告書にしか載っていません。
2-1. ニッセイの実質コストは0.210%だった
ニッセイNASDAQ100の交付運用報告書(第3期・2024年9月21日〜2025年9月22日)にある「1万口当たりの費用明細」です。
| 項目 | 1万口当たり | 比率 |
|---|---|---|
| 信託報酬 | 39円 | 0.205% |
| 売買委託手数料 | 0円 | 0.001% |
| 有価証券取引税 | 0円 | 0.000% |
| その他費用(保管・監査など) | 1円 | 0.005% |
| 合計 | 40円 | 0.210% |
金額は1円未満、比率は小数第3位未満を、項目ごとに四捨五入しています(運用報告書の注記)。そのため、金額が0円でも比率が出たり、比率の合計が合計欄と一致しなかったりします。
公表されている信託報酬は0.2035%ですが、実際にかかったのは0.210%。信託報酬に載っていない分が0.006%ありました。
金額で見れば小さな話です。ただ、SBIとニッセイの公表値の差は0.0077%しかありません。信託報酬に載っていない費用は、その8割の大きさです。
2-2. 公表値で安い楽天が、実質では高かった
信託報酬と実質コストのギャップには実例があります。
楽天・プラス・NASDAQ-100の交付運用報告書(第2期・2024年10月16日〜2025年10月15日)を同じように見ると、信託報酬0.198%に対して、実質コストは0.211%でした。信託報酬以外が0.013%です。
第1章の表のとおり、楽天のほうがニッセイより、公表されている信託報酬は0.0055%安いのです。それなのに、実際にかかった費用は逆に高い。公表値の順位と、実質コストの順位が入れ替わっていました。
念のため断っておくと、2本の対象期間は1ヶ月ずれています。同じ期間を切り出して比べたわけではないので、厳密な優劣の話にはできません。それでも、公表値の差(0.0055%)より、信託報酬に載っていない費用の差(0.006%と0.013%)のほうが大きいという関係は変わりません。順位は入れ替わりうる、ということです。
2-3. SBIの実質コストは、2027年5月の初回決算まで出ない
SBI NASDAQ100の設定日は2026年5月21日、決算日は毎年5月11日で、初回決算は2027年5月11日です。つまり運用報告書が1本も出ていません。実質コストは、まだ誰にも分かりません。
SBIの0.1958%にも、ニッセイなら0.006%、楽天なら0.013%が上乗せされる類の費用が乗ってきます。上乗せ幅が楽天と同じなら、ニッセイに対する0.0077%の優位は消えます。
開示の粒度も違いました。ニッセイは監査費用を年率0.0011%と別建てで書いています。SBIは「事前に料率、上限額などを示すことができません」。どちらの公表値も監査費用を含みませんが、金額を出しているのはニッセイだけです。
公表されている数字どうしを並べて「こっちが安い」と言うとき、そもそも同じものを比べていないわけです。私もそうやって判断していました。
3. ニッセイからSBI NASDAQ100に乗り換えるべきか
私は2026年6月に、NASDAQ100の投資信託をニッセイからSBIへ乗り換えると決め、7月から買付けを始めました。信託報酬の差は0.0077%です。
そのときは「同じ指数だし、繰上償還リスクもほぼ無いので、安いほうでいい」と考え乗り換えました。ただ、その0.0077%は実質コストを加味していません(第2章)。
3-1. 乗り換えたとき、私が見ていたのは0.0077%だった
判断はこうでした。
同じ指数なら、差は信託報酬の0.0077%だけ。100万円を1年持って77円、1,000万円でも770円です。缶コーヒー1本にもならない年があります。それでも、どうせ同じものを買うなら安いほうへ向けておこう——という程度の話です。
実は同じことを、前にもやっています。新NISA積立投資枠のS&P500を、2025年2月にSBI・V・S&P500からeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)へ切り替えました。あのときもコスト差から乗り換えただけで、深く考えたわけではありません。
-> 新NISAの運用実績と利回り
「安いほうが出たら新規の買付けを向ける」という投資判断をしています。
3-2. 既存のニッセイは売らず、新規の積立だけSBIに向けた
乗り換えでいちばん考えたのがここでした。既に買い付けてある商品を売らないという部分です。
私はニッセイNASDAQ100を1円も売っていません。理由は3つあります。
- コスト差0.0077%は、売る理由にならない。すでに積み上げた分を、缶コーヒー未満の差のために動かすのは本末転倒です
- NISA枠を消費してしまう。売っても非課税枠はその年すぐには復活せず、買い直せば新たに枠を使います。育ってきた非課税の苗を、抜いて植え直す必要はありません
- 同じ指数なら、2本持っていても困らない。資産全体で見れば、ただNASDAQ100を持ち続けているだけです
やったのは毎月の積立設定の変更だけ。手間は一手、売買のタイミングリスクはゼロです。乗り換えというよりは乗り増しで、これなら判断が外れても失うものがありません。
なお私は月30万円をNISAで買い付けると決めていて、そのうち成長投資枠が20万円です。ここを動かしただけです。
-> 新NISAの運用ルール|毎月30万円の積立と、成長投資枠を一括で使うタイミング
3-3. 実質コストが分からないまま乗り換えて、損はしないのか
SBIに乗り換えて起こりうることを並べると、こうなります。
- SBIの上乗せ幅がニッセイと同じくらいなら、0.0077%の差はそのまま残る
- 楽天と同じくらい大きければ、差は消えてトントンになる
- 私が損をするのは、SBIの上乗せ幅がニッセイより0.0077%以上大きかった場合だけ。
上乗せ分は、SBIだけにかかる費用ではありません。どのファンドにもかかります。
楽天が0.013%と大きめなのは、指数との連動を保つためにETFや先物を併用していることと関係があるのだろうと見ています(第2期の組入にQQQが3.1%、NASDAQ100先物が2.2%入っています)。ただし、これで安心はできません。SBIの目論見書にも「連動性を高めるため、有価証券先物取引等を活用する場合や上場投資信託証券に投資する場合があります」と書いてあります。楽天と同じ型の上乗せになる可能性は残ります。ここは私の推測です。
仮にニッセイより割高になったとしても、既存のニッセイを売っていないので、大きな影響はありません。
未確定の数字を乗り換え根拠にしたのは事実ですが、未確定なものを扱うときに重要なのは、精度を上げること以上に外れても大負けしない形にしておくことだと思っています。3-2の「新規買付けだけ切り替える」が、まさにそれです。
4. 乗り換えて4ヶ月目、今の運用実績は?
6月に宣言したとおり、7月から毎月初めに20万円ずつ、新規の積立をSBIへ向けています。10月までの4回で80万円です。毎週つけている記録から、各月の最後の週の数字を抜き出しました。10月はこの記事を書いた時点の最新です。
| 記録した日 | 買付の累計 | 評価額 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 2026年7月25日 | 20万円 | 192,485円 | -7,515円(-3.75%) |
| 2026年8月29日 | 40万円 | 403,594円 | +3,594円(+0.89%) |
| 2026年9月26日 | 60万円 | 621,263円 | +21,263円(+3.54%) |
| 2026年10月24日 | 80万円 | 769,730円 | -30,270円(-3.78%) |
含み損で始まり、8月と9月は含み益、10月はまた含み損です。9月末の+21,263円から10月24日の-30,270円まで、損益は1ヶ月で5万円あまり動きました。
いっぽう、信託報酬の差で得した額は、多めに見積もっても20円に届きません。80万円の全額を7月2日から10月24日まで(114日)持っていたとして、年率0.0077%を割り付けた額です。実際には8月以降に買った分の保有期間はもっと短いので、これより少なくなります。
20円と5万円。2,000倍を超える開きがあります。
コストの差は、値動きに完全に埋もれます。ここで「だからコストを気にするな」と言いたいわけではありません。コストは長い年月と大きな残高で効いてくる話で、数ヶ月で答え合わせできる類の数字ではないということです。第2章で書いた0.006%の不確かさが問題になるのも、同じ理由で先の話になります。
値動きの大きさそのものについては、別に1本書いています。
-> インデックス投資の暴落時の心構え|下落時に売らずに持ち続ける2つのポイント
5. 次に最安のファンドが出たらどうするか
同じ判断は今後も何度も出てくるかもしれないので、順番を決めておきます。
- 既存の保有は売らない。新規の買付けだけを向ける。これだけで判断が外れたときの損失を低くできます
- 前提を確認する。連動する指数、為替ヘッジの有無、買える場所、そして繰上償還の条件。目論見書の金額と純資産を比べて、桁で超えていれば通過です
- 運用報告書の「1万口当たりの費用明細」を見る。公表の信託報酬ではなく、合計の比率を見ます
- 運用報告書が無いファンドは、実質コストが未確定だと認める。設定から日が浅いファンドは、安いかどうかまだ分かりません
一番重要なのが1の手順です。2〜4がどれだけ曖昧でも、1を守っていれば判断はブレません。
まとめ
- SBI・ニッセイ・楽天の3本は同じNASDAQ100で、違いはコストだけ。SBIはSBI証券、楽天は楽天証券でしか買えず、NISAでは3本とも成長投資枠です
- ニッセイの実質コストは公表0.2035%に対して0.210%。信託報酬に載っていない分が0.006%あり、これはSBIとの公表値の差0.0077%の8割にあたります
- 楽天は公表の信託報酬がニッセイより安いのに、実質コストは高かった。公表値の順位は実質コストの順位ではありません
- SBIの実質コストは2027年5月まで存在しません。私は未確定の数字を根拠に、ニッセイから新規の積立を移したことになります
- それでも乗り増しは正しかったと思っています。上乗せ分はどのファンドにもかかるもので、SBIだけの弱点ではありません。SBIの実質コストの方が高くなる可能性はありますが、ニッセイも売っていないので大負けはしません
低コスト競争そのものは、投資家にとってありがたい話です。ただ「最安」という言葉は、公表されている数字の上の順位でしかありませんでした。実際に払う額は、1年待って運用報告書を読むまで分かりません。
それでも動けたのは、判断を確かにしたからではなく、外れても大負けしない形にしたからです。確かめられない数字を前にしたとき、精度を上げようとするより、こちらのほうが判断を後押しします。
次の決算が出たら答え合わせです。
数字の出どころ
この記事の費用の数字は、すべて運用会社が出している資料から取りました。ご自身で確かめられます。
- SBI NASDAQ100インデックス・ファンド 交付目論見書(PDF。信託報酬の配分・繰上償還の条件・決算日・NISAの対象枠)
- SBI NASDAQ100インデックス・ファンド 申込メモ・費用
- ニッセイNASDAQ100インデックスファンド レポート(交付運用報告書 第3期・マンスリーレポート)
- 楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド 交付運用報告書 第2期(PDF)
- SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド 交付目論見書(PDF。2023年8月版)
買える証券会社とNISAの枠は、次の資料で確認しました(2026年10月時点)。取扱いは変わることがあります。
- ニッセイNASDAQ100インデックスファンド 販売会社
- 楽天証券 楽天・プラスシリーズ
- みんかぶ SBI NASDAQ100 販売会社/楽天・プラス・NASDAQ-100 販売会社
- 大和アセットマネジメント iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
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